その他の耳鼻科疾患
その他の耳鼻科疾患
アフタは口腔粘膜の上層に発生する類縁系で境界明瞭な炎症性病変で20mm以下のものを指し、口内炎の大部分を占めます。治療は基本的には口腔粘膜用のステロイド軟膏、貼付剤を用いますが、粘膜再生に関わるビタミン剤の併用も検討します。基本的には予後良好です。
アフタが粘膜下まで及んで拡大したものを潰瘍といいますが、口腔咽頭に限局して1か月以上治癒しない遷延性・難治性のものは難治性口腔咽頭潰瘍といいます。ベーチェット病や天疱瘡などの自己免疫疾患や、カンジダや梅毒、ウイルス性の特殊な感染症、腫瘍なども鑑別にあがります。
鑑別のための血液検査や培養検査、病理検査などの検討が必要となるため、同一部位に1か月以上続くような潰瘍は注意が必要です。
顎の運動時の疼痛や関節音、口が開きにくいなどの運動異常を来します。これらの症状のうちいくつかを認め他の疾患が否定された場合に顎関節症と診断します。
原因の70%は、顎関節のクッションの役割を果たしている関節円盤が前方にずれてしまうことで発症しますが、このタイプはレントゲン撮影では異常を認めません。診察ではあごの周囲の触診により、異常運動を来している場所・筋肉や関節音の性状を確認します。
治療の第一選択は沈痛消炎薬や筋弛緩薬、食事形態の工夫や温熱療法などの保存的治療ですが、難治性の場合は歯科にご紹介させていただき、マスピースや開口訓練等を検討します。
空気の通り道である気道が慢性炎症をおこして過敏になり狭くなることで、喘鳴(呼吸時ヒューヒュー、ゼーゼーという音が出る)、呼吸困難、咳、息苦しさなどの症状を来します。アレルギー体質の方に多く、運動や寒暖差が誘因となる場合もあります。運動誘発の場合は徐々に体を慣らしていくと起きにくくなります。診断には呼吸機能検査が必要ですが、疑われる場合は早期の治療開始が望まれることもあり吸入ステロイド薬や内服薬等で治療を行います。
咳喘息はかぜなどを誘因として、喘鳴を伴わない咳が8週間以上続く場合を指し、こちらも吸入ステロイド薬などで治療を行います。喘息と同様に気道が過敏になっている状態で、鼻副鼻腔炎等の合併がみられる場合があります。
鉄欠乏性嚥下困難と呼ばれることもあり、徐々に進行する嚥下障害と舌炎・口角炎を呈します。貧血により易疲労感や動悸息切れ、頭痛などの症状もみられることがあります。内視鏡検査で食道入口部付近の浮腫・膜様隆起が見られる他、舌の萎縮、匙状爪といわれる爪がスプーンのように反り返る所見が見られることもあります。
鉄材の投与で舌・口腔粘膜症状は早急に改善し、嚥下障害も徐々に軽快します。嚥下障害に対して内視鏡的バルーン拡張術などが行われる場合もあります。下咽頭がんの原因として女性に多くみられ、注意が必要です。
頭頸部がんのうち30%以上は口腔がんであり、舌がんは15%以上を占めています。飲酒喫煙との関連性が指摘されており、しこりがある、口内炎が治らない、痛みや出血が続くなどの症状で発見されることが多いです。舌がんの診断には触診が非常に重要であり、腫瘍の硬さや周囲の組織との位置関係や癒着・可動性といったものを確かめます。
がんを疑った場合、組織検査で診断をつけ、画像検査で病変の広がりや全身検索してステージを分類した上で、それぞれのステージにあった治療を行います。目に見える臓器なので早期発見が多く、ステージ1の5年生存率は90%以上です。
上咽頭は口や鼻から目視出来ない位置であり、この部位のがんは早期発見が難しいとされています。周辺臓器に浸潤してから症状が出ることが多く、頸部リンパ節腫脹や耳管への圧迫・浸潤による一側性の滲出性中耳炎、主に目を動かす神経への浸潤による脳神経障害、頭痛などの症状を来します。
約90%はエプスタインバーウイルス(EBV)が発症に関与しており、このタイプは抗がん剤や放射線治療への感受性が高いことが知られています。
高齢者の飲酒喫煙に伴うタイプと若年者の性習慣に伴うタイプがあります。初期症状は乏しく、リンパ節転移を来してから頸部腫瘤として気づかれることが多いです。咽頭違和感や咽頭痛から始まり、進行すると開口障害や舌運動障害などを生じます。
若年者にも好発するタイプでは性習慣、ヒトパピローマウイルス(HPV)感染との関連が知られています。HPV関連中咽頭がんは、病変の主体が粘膜下のため視覚的に分かりにくく、触診が重要になります。また、頸部リンパ節転移が特徴的で嚢胞状のリンパ節を来します。HPV関連中咽頭がんの方が予後は良いといわれています。
高齢男性に好発し、長期間の飲酒喫煙が原因となります。また、女性の鉄欠乏性貧血では進行すると食道入口部の浮腫や嚥下障害の原因となりますが、こちらも下咽頭がんの原因となります。
早期の症状は乏しく20%程度が頸部リンパ節腫脹での発見となります。進行すると咽頭痛や咽頭違和感、血痰、嗄声、嚥下時のつかえ感や嚥下困難、呼吸困難などの症状を来します。また食道がんの合併率が高く、20%以上でみられます。
喫煙が最大の原因であり、高齢男性に多いです。声帯に好発し、この場合は早期から声がれを来します。加齢性に声帯が萎縮しても声がれを認めますが、心配な際はご相談ください。声帯以外の喉頭に出来ると、早期の症状はのどの違和感程度のため発見が遅れがちです。進行すると嚥下障害や血痰などの症状が出現します。
また、声帯白板症はのどの酷使や炎症、喫煙習慣などが誘因となり、嗄声の原因としてみられやすい病気ですが、前がん病変といわれており注意が必要です。ヒトパピローマウイルス感染が原因となる喉頭乳頭腫も、一見して喉頭がんと見分けがつきにくい場合があります。
日中の活動性・集中力低下や眠気、いびきの他、夜間頻尿や、小児の場合は夜尿症や成長発達障害(体格が小さいなど)、学習障害、性格の変化(怒りっぽくなる)といった症状を認めます。生活習慣病との関連も知られており、脳卒中や心臓・血管の病気(心筋梗塞や心不全)のリスクが5倍程度増加します。
原因として肥満や舌が大きいこと、口蓋扁桃・アデノイド肥大、鼻閉などによる空気の通過障害が多い他、顎が小さい痩せ型の人にも好発します。確定診断には終夜検査を行いますが、となりのいけだ内科さんでも行っております。
原因や重症度により複数の治療方針がありますが、まずは減量や断酒減酒といった生活習慣の改善が大切です。持続的気道内陽圧療法(CPAP)療法は代表的な治療法ですが、今後当院でも導入予定です。
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