アレルギー・ウイルス感染症
アレルギー・ウイルス感染症
スギ・ヒノキなどが原因の季節性のもの、ダニ・ホコリ・カビなどが原因の通年性のものがあります。近年アレルギー性鼻炎の有病率は上昇傾向でありアレルギー性鼻炎の罹患率は約50%でスギ花粉に対するアレルギー性鼻炎は約40%との報告もあります(2019年全国疫学調査)。成人になってから発症する場合もあります。
症状は鼻汁、鼻閉、くしゃみが3大症状といわれていますが、副鼻腔炎の合併や、眼・耳・のどに対するアレルギー反応の合併も高率にみられます。のどの違和感や咳の原因となる喉頭アレルギーはスギ花粉症の50%弱にみられます。
当院では鼻汁を採取し、アレルギーの反応を調べる鼻汁好酸球検査や、指から1滴血液を採取することでお子さんでも原因物質を調べられるドロップスクリーン検査を導入しています。
治療は薬物療法がメインで、症状の程度に応じて点鼻薬や飲み薬の組み合わせの治療が標準的です。また、スギ・ダニに対する舌下免疫療法も行っております。
眼のかゆみ、涙が出る、充血するなどの症状を来します。
通年性アレルギー性結膜炎と季節性アレルギー性結膜炎があります。アレルギー性結膜炎の方が長期装用型のコンタクトレンズを続けることで、レンズの汚れや刺激に反応して巨大乳頭結膜炎になる恐れがあり、めやに、異物感、痛みなどが出ることがあります。また、スギ・ヒノキなどの季節性アレルギー性結膜炎では重症化すると、上まぶたが激しく腫れたり、角膜にも障害が及んで視力障害の原因となります。春季カタルとよばれ、アトピー性皮膚炎や喘息を持つお子さんに多いです。
それぞれ点眼薬や抗アレルギー薬で治療しますが、コンタクトレンズの選択、装用や洗浄には注意が必要です。コンタクトレンズを装用したままで使用可能な点眼薬もあります。
花粉症に関連した疾患で、花粉アレルゲンと植物性食物アレルゲンに共通する交差抗原によって発症します。花粉の種類としてはスギ、ブタクサ、ヨモギ、カモガヤなどが原因として知られています。
特定の食事を摂取した際に、急性に口やのどの腫れや痒み、蕁麻疹様の症状を来し、重症化すると呼吸困難やショック症状を認めます。診断は血液検査で、原因の食物と関連性の高い花粉アレルギーの検査や、アレルギーコンポーネント検査で行います。対策としては原因物質の回避が基本で、誤食や症状出現の際は花粉症薬の抗ヒスタミン薬の投与が望ましいです。
ラテックスフルーツ症候群は口腔アレルギー症候群の1つで、キウイ、栗、バナナ、アボカドといった感作食物を食べると30-50%で口腔アレルギーの急性症状を来します。
食事依存性運動誘発アナフィラキシーは原因物質の食後4時間以内の運動や飲酒、入浴、鎮痛剤内服などが原因でアナフィラキシーの症状を来します。原因食物としては小麦や甲殻類が多いです。
アナフィラキシーとはアレルゲンなどの侵入により複数臓器に全身性にアレルギー症状が惹起され、生命に危機を与えうる過敏反応であり、卵や乳製品・小麦・ピーナッツ等の食物やハチなどでも生じます。皮疹や呼吸苦、腹痛嘔吐、血圧低下といった症状を来します。
金属アレルギーは金属元素をアレルゲンとする接触皮膚炎の一つです。耳鼻咽喉科領域では口腔内の歯科用金属に反応して、口腔粘膜炎に加えて離れた場所や全身性に皮膚炎を来します。疑われる場合は皮膚科的な検査が必要であり、ご紹介いたします。
乾燥する冬季に多く、上気道炎症状と高熱、悪寒、筋肉痛、関節痛および全身倦怠感などを認めます。かぜよりも重症化しやすく、インフルエンザワクチンにより重症化のリスクを下げることができます。
日本人は特に小児期にインフルエンザ脳症の発症頻度が高いことが知られており、高齢者や免疫低下を来す持病のある方は細菌性肺炎合併リスクも高いため、ワクチン接種や手洗い、アルコール消毒、うがいといった感染予防が推奨されます。
当院では5歳からインフルエンザワクチンの接種ができます。また、15分で結果の出る迅速検査も行っています。
発熱、咽頭痛、咳、筋肉痛・関節痛、悪寒などの症状を来します。味覚嗅覚障害は発症すると長引くこともありますが80%程度が1か月程度で改善するという報告があります。
抗原性の変化により感染しても無症状の方が増え、重症化のリスクは軽減されてきているといえますが、高齢者や免疫低下を来す基礎疾患がある方は肺炎悪化への注意が必要です。ワクチン接種は症状の重篤化リスクの軽減効果が認められたという報告があります。
咽頭所見や接触歴など新型コロナウイルス感染症が疑われる場合、当院では鼻の奥から採取した鼻咽頭ぬぐい液での抗原検査を行いますが、5分で結果がでます。
2023年5月に5類感染症に移行され、学校保健安全法によると発症後5日、症状軽快後1日経過するまで出席停止の扱いとなっております。また、ウイルス排出期間は長い方で2週間程度といわれており、出席停止解除後も10日間程度のマスク着用が推奨されます。
ヘルペスウイルスにも型が存在し、耳鼻咽喉科領域の病気の原因になるのは主に単純ヘルペスウイルス1型と水痘・帯状疱疹ウイルスです。耳のあたりにある三叉神経節などに潜伏しており、免疫力が落ちると暴れだして様々な症状を来します。
単純ヘルペスウイルス1型は顔面皮膚や口唇、口の中に好発し、口内炎を来すと激しい痛みと食欲低下を来します。稀に脳炎や角膜炎などを引き起こす他、顔面神経麻痺の原因ウイルスとしても知られています。
水痘・帯状疱疹ウイルスは多発脳神経炎を来すことが知られています。ハント症候群は耳性帯状疱疹であり顔面神経麻痺や難聴、めまい、耳痛、耳だれ、皮疹、味覚低下などの症状を来します。特に顔面神経麻痺を発症すると自然治癒率は30%に満たず、治療後の後遺症を来す可能性も高いです。口やのどにでる症状は口内炎や口唇炎、咽頭喉頭の粘膜炎、咽頭痛、反回神経麻痺による声がれや嚥下障害、摂食不良などがあります。
治療は抗ウイルス薬や対症療法の他、神経症状を合併した際はステロイドホルモン療法を行います。発症後1週間以内の治療開始が推奨されます。
おたふくかぜといわれる両側耳下腺炎や、炎症が耳に波及すると内耳炎をおこし高度かつ難治性の難聴の原因となります。3-8歳に好発し、咳などを介して飛沫感染します。
再感染を起こすことが知られており、若年であるほど不顕性感染(症状のない感染)で終わることも多いですが、発症すると発熱や両側唾液腺の腫脹、痛みなどを来します。鑑別疾患の反復性耳下腺炎、化膿性耳下腺炎は口の中の唾液腺の開口部から排膿がみられることが多い点で異なります。
特異的な治療法はなく、鎮痛剤や安静で経過をみますが、発症と重症化予防のためにワクチン接種が大切です。ワクチン接種は生後12か月以降と小学校入学前の接種が推奨されます。ご家族で感染者が出た場合はタオル共用を控えたりマスクをしたり感染対策を行いましょう。
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