みみの病気
みみの病気
鼓膜の外側に慢性刺激(耳掃除や耳さわり、イアホン、補聴器の装用、シャンプーや水泳等液体による刺激など)が加わることで湿疹や感染をおこして、耳痛や耳だれなどの症状を来した状態です。
近年抗生剤に耐性をもつ菌が原因となっている場合が多く、細菌培養検査を行うことで起炎菌の同定や治療薬剤の選択が出来ます。また、カビの混合感染を起こしている場合も多く、その際は治療方針が異なります(外耳道真菌症)。
清掃と抗生剤、消炎剤が治療の基本的ですが、当院では丁寧な処置や積極的な培養検査を行い、適切な治療薬選択を心がけます。
耳垢が外耳道に貯留、充満すると難聴や耳閉感、感染を来します。
基本的に人には自浄作用(耳垢を自然に外に排泄する)作用が備わっていますが個人差があること、耳掃除や耳いじりで耳垢を奥に押し込んでしまうことなどが原因となります。幼少期だと言語発達や日常でのコミュニケーションに支障が生じる可能性が、高齢者の場合は耳垢が骨に食い込んで周辺の骨を破壊する閉塞性角化症を生じる可能性があります。
定期的に耳鼻科を受診し清掃した方が良い方もいますので、気軽にご相談ください。
小児期に多くみられる中耳の感染症です。鼻やのどの感染の後に耳管を通ってウイルスや細菌が中耳に侵入して炎症を引き起こし、疼痛や難聴を来します。近年は原因菌としてBLNAR(βラクタマーゼ産生ペニシリン耐性)インフルエンザ桿菌が増加傾向で、第一治療選択薬といわれるペニシリン系の抗生剤が効きません。難治性の場合は培養検査を行い、抗生剤の選択には注意が必要です。
重症化すると内耳(音やバランスを感じる器官)に炎症をおこす内耳炎や、乳様突起炎、Bezold膿瘍やグラデニーゴ症候群といった重篤な疾患につながる可能性もあります。
当院ではしっかり鼓膜所見を取った上で必要な場合は鼓膜切開等の外来手術も行います。
中耳に貯留液が溜まり難聴や耳閉感を来しますが、耳痛や発熱のない中耳炎です。
幼少期に多く、半数が中耳炎を契機に発症しますが、耳管狭窄症、アレルギー性鼻炎や慢性副鼻腔炎を起因とした耳管周囲の炎症、腫瘍、アデノイド肥大等が原因となる場合もあります。遷延すると慢性穿孔性中耳炎や真珠腫性中耳炎、癒着性中耳炎等の原因となります。
鼓膜所見で診断がつく場合もありますが、中耳炎を反復して鼓膜が固くなっている方や急性中耳炎との鑑別が難しい場合もあります。当院ではティンパノメトリー検査により客観的に滲出性中耳炎の診断も行えます。
治療は原因疾患の治療や去痰薬、遷延する場合は鼓膜に排液用のチューブを入れる鼓膜チューブ留置術などが選択肢で、成人の方は当院でも行えます。幼少期に難治性でアデノイド肥大を合併している場合は全身麻酔下のアデノイド切除術の併用が望ましい場合もあり、その場合は連携病院へ紹介いたします。
中耳と上咽頭をつなぐ管の狭窄により、耳閉感や難聴といった症状を来します。原因としてアレルギー性鼻炎や慢性副鼻腔炎などの炎症性疾患、鼻すすりなどがあります。
診断には耳管機能検査や画像検査、耳管通気検査などがありますが、耳管通気(鼻から耳管咽頭口にカテーテルを挿入し空気を通します)には治療効果もあり当院で行っております。また、原因疾患の治療や去痰薬、遷延により滲出性中耳炎を併発する頻度も高いため鼓膜チューブ留置術等が行われます。
その他耳管機能に関する疾患として自声強調や呼吸音、耳閉感といった症状を来し、妊娠や体重減少、ピル等を誘因とすることがある耳管開放症もあります。
突然発症する感音難聴の総称です。食習慣や睡眠時間、アルコールとの関連性も示唆されています。基本的には片耳の発症ですが、ごく稀に両側性に罹患することもあります。また、反復・聴力が変動することでメニエール病や聴神経腫瘍、外リンパ瘻といった別の診断がつく場合もあります。
治療はステロイド製材や血管拡張薬、神経修復のためのビタミン製材が初期治療で行われます。発症時は早急な対策が大切となり、ステロイド製材の適応時期は原則発症から2週間以内とされています。その他、高気圧酸素療法やステロイドの鼓室内投与、星状神経節ブロックなども優先度は低いですが治療選択肢の一つです。
もともと治癒率も低く、初期対応が遅れるほど後遺症が残る確率が上がりますが、発症から6か月程度は聴力が変動する可能性があります。難聴発症時は早急な耳鼻科受診が望ましいです。
耳鳴症は有病率が10~15%といわれています。そのうちの90%は感音難聴に伴う耳鳴です。聴力検査を行い、耳鳴の原因となる疾患がある場合は原因疾患の治療を行います。
治療において大切なのは耳鳴を気にしすぎないことですが、難聴の程度が大きいと補聴器による治療が有効で、雑音を織り交ぜて耳鳴の音を相殺するサウンドジェネレーター付き補聴器もあります。漢方や睡眠薬等の薬物療法は治療選択肢の1つです。耳鳴による苦痛の軽減や耳鳴があっても生活に支障を来さないことが治療目標です。
残りの10%の原因には内頸動脈海綿静脈洞瘻などの脳血管奇形や中耳がん、グロムス腫瘍といった腫瘍性疾患、耳管機能不全や上半規管裂隙症候群、口蓋ミオクローヌス等の疾患があります。
ストレス関連めまいとしても知られており、変動するめまい、難聴、耳閉感、耳鳴などの症状を反復します。症状が聴覚症状のみやめまい症状のみの亜型もあり、神経診察や聴力検査、眼振検査等を複数回、総合的に行って診断をつけます。低音中心の聴力低下から始まり、遷延すると全音域の聴力低下や、両耳発症、神経症、うつ病の発症リスクがあります。
適切な治療を行うことで症状のコントロール、発作予防を行うことが大切です。生活改善が大切な治療であり、禁煙や睡眠、適度な有酸素運動や水分摂取が有効です。
薬物治療は内耳循環改善薬、漢方等の利尿薬が用いられ、症状に応じて調節します。めまい症状が中心の方は中耳加圧療法の適応となることもあります。
めまい疾患の中で最も頻度が高く、全めまいの3割程度を占める病気です。骨組成成分のカルシウムからなる耳石の位置が耳の中でずれることで、バランス感覚に異常を来して発症するめまいであり、加齢や閉経による骨代謝の低下や同じ姿勢を持続することなどが発症リスクとなります。聴覚症状はなく、めまいの持続時間は基本的には数分以内と短いです。
診断は頭位を変えての眼振検査で行いますが、初期症状からはメニエール病や前庭神経炎との鑑別が困難なことも多く、BPPVのうちクプラ結石症では同様の眼振パータンで小脳梗塞等の脳血管疾患が隠れている場合があり注意が必要です。
発症急性期には安静と薬物療法が主体となりますが、根治治療には頭を動かしてもらう理学療法が大切であり、当院でも理学療法の指導を行っております。30%弱が再発性であり、また遷延すると持続性知覚性姿勢誘発めまい(PPPD)に移行することもあります。
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