鼻炎のいろいろ|那珂川市片縄の耳鼻咽喉科|みみ はな のど かたのクリニック

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鼻炎のいろいろ

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2025年1月16日

局所アレルギー性鼻炎、好酸球増多性鼻炎

血液検査でアレルギーの反応が検出しないにもかかわらず、アレルギー治療が有効である鼻炎も存在します。

一般的なアレルギー性鼻炎の診断は鼻汁・鼻閉・くしゃみといった症状に加えて、鼻汁好酸球検査(鼻水をぬぐって、アレルギー反応で生成される好酸球が検出されるかを調べる検査)、血液検査でのアレルギー検査、皮膚テスト(皮内にアレルギーの原因となる抗原の入った薬液を注入して皮疹ができるか調べる検査)、鼻誘発試験(ハウスダストとブタクサのみが適応となり、これらの成分が含まれる抗原ディスクを鼻内に挿入してアレルギー反応を調べる検査)といった検査のいずれかで診断をつけます。また、鼻を診察する際には鼻の中の下鼻甲介という部位の前方が青白く腫れる特徴的な所見を認め、症状に関する問診や診察も重要です。

血液検査や皮膚テストでアレルギーの反応が検出されないにもかかわらず、鼻の診察所見でアレルギー性鼻炎の所見を示したり、鼻のアレルギー症状を認めるものには局所アレルギー性鼻炎や好酸球増多性鼻炎があります。局所アレルギー性鼻炎では、鼻誘発試験でのアレルギー反応や、鼻汁中の好酸球の増加、IgE(アレルギー反応開始に関わるたんぱく質)の増加などを認めます。好酸球増多性鼻炎では鼻汁好酸球検査で強陽性(通常は数%以内である好酸球の割合が20%以上)となり、目のかゆみであったり他の臓器のアレルギー症状は認めません。

どちらも治療方法はアレルギー性鼻炎と同様で、抗アレルギー薬の内服やステロイド点鼻薬が有効です。

寒暖差アレルギー(血管運動性鼻炎)

季節の変わり目で朝晩と日中の寒暖差が大きい時、寒い部屋から暖かい部屋に入った時、入浴後、寒い中で温かい食べ物を食べた時などに鼻汁、鼻閉、くしゃみ、頭痛などの症状が出現する方もおられるのではないでしょうか。これらの症状の原因は寒暖差アレルギーが疑われます。

寒暖差アレルギーは、医学的には血管運動性鼻炎と呼ばれています。発生機序は完全には解明されていませんが、自律神経のバランスの乱れや鼻の知覚神経の過敏が原因でおこるといわれており、成人女性、特に40歳以上の方に多くみられます。

自律神経には交感神経と副交感神経があり、体を興奮させたりリラックスさせたりのバランスを保っています。交感神経が優位になると体を興奮させて、心拍数や血圧を上げたり、消化管などの内臓の働き・分泌は抑制されます。副交感神経が優位になると体をリラックスさせるのですが、この際消化管などの内臓の働きは活発になり、鼻からの分泌液も増加します。鼻の血管が広がるために鼻閉も来たします。鼻の知覚神経が過敏な状態では、温度差刺激により鼻が過敏反応を示しますが、この際脳からリラックスさせるために副交感神経刺激の信号がおくられます。それに伴って鼻の血管拡張による鼻閉や、分泌液増加による鼻汁などの症状を来たします。

治療方法としては自律神経を整えることが重要となります。筋肉量が少ない方で発症しやすいことが知られており、適度なトレーニングやストレッチ・有酸素運動、たんぱく質の摂取が有効である他、夜更かしをしないなど生活リズムを整えること、偏食をしないといった食生活の改善が有効です。また寒いところに行く際はマスクをしたり、衣服でのこまめな体温調節をして寒暖差刺激の暴露を減らすことも大切です。

治療薬としては体質改善の漢方薬や点鼻薬の他、症状が強い方には全身麻酔での手術になりますが、鼻の奥から延びる神経を焼灼切断する後鼻神経切断術といった治療法があります。

薬剤性鼻炎

慢性的な鼻づまりを来たし、多くの場合は市販の点鼻薬を長期間使用することが原因となります。市販の点鼻薬の大半には血管収縮作用をもつ成分が含まれており、こういった点鼻薬の使用は2週間以内で終了することが推奨されています。血管収縮作用により鼻の血管を無理やり収縮させることで、鼻の容積を減らして空気の通りが一時的によくなるのですが、無理やり収縮させられた血管は反応性に広がろうとします。これを繰り返すことで、鼻の血管がより広がってしまい、また点鼻薬による鼻の血管収縮作用の感度も徐々に低下するため、鼻の容積が点鼻開始前より大きくなることで慢性的な鼻詰まりを来たします。市販の点鼻薬をして一時的に鼻閉がとれても、数時間で鼻詰まりをより強く感じるようになっていきます。

こういった作用を引き起こす薬剤は内服薬にもあり、降圧薬(ACE阻害薬やカルシウム拮抗薬など)やベンゾジアゼピン系の睡眠薬や抗精神病薬、ピルの長期使用などが原因となることが知られています。

治療は原因薬の中止や点鼻薬を血管収縮成分の含まれていないものへの切り替え、鼻の通りをよくする抗ロイコトリエン薬などで行い、一般的には数週間かけて鼻閉症状は改善していきます。原因薬の暴露期間が長く治療効果が乏しい場合は、鼻の下鼻甲介と言われる部分の粘膜や骨を削る手術も検討されます。

次回も鼻疾患に関して記載していきますのでよろしくお願いします。

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