2025年9月11日
フルミスト点鼻液は2023年に承認された新しいインフルエンザワクチンです。
国内では2歳以上19歳未満の方が適応です。
当院では2025年度の予防接種は7500円(税込)で行い、2歳の方から受け付けます。
・どんな製剤なの?
フルミストは、病原体となるウイルスの毒性を弱めて病原性をなくしたものを原材料として作られた生ワクチンである点が、従来の注射製剤と異なります。
生ワクチンの接種では、弱ってはいますが生きているウイルスを体内に取り込むため、1回の接種で十分な免疫力をつけることができます。
(注射製剤は不活化ワクチンであり、死んだウイルスを原材料として作られています。生ワクチンと違い体内で増殖しないため、生ワクチンと違い免疫力が付きにくいため、複数回接種が必要になる場合があります。)
鼻は、呼吸の際に最初にウイルスや雑菌・異物に触れる場所ですが、フルミストは鼻の粘膜に直接免疫を誘導するため、予防効果が高いです。また、予防効果は従来型の5か月程度と比較して、半年~1年と長いことも特徴です。
国内では2023年に承認されてから未だ時間がたっておりませんが、海外では20年以上の使用実績があり効果も立証されています。
他のワクチンとの同時接種は可能です。
・メリット
鼻への噴霧での投与のため、痛みがありません。
12歳までの方は、注射の場合は2回接種することが推奨されておりますが、本剤は1回接種で投与が完了します。
インフルエンザの予防効果が期待できます。
・デメリット、副作用
副反応として接種後2週間以内に、鼻汁鼻閉、咳、のどの痛みといった症状が6割程度の方に出現し、従来の注射型ワクチンより症状が出やすいのが特徴です。
1-2%の確率で投与に伴ってインフルエンザを発症する可能性があります。
・注意点、投与しない方がいい場合
投与後2週間以内の方は、免疫力が低下している方との接触を避けることが推奨されます。
ご家族に授乳中の方がおられる場合は注射でのワクチン接種が推奨されます。
重症喘息の方は接種を起因として喘息発作を起こす可能性があり、注射でのワクチン接種が推奨されます。
接種前後での抗インフルエンザ薬の使用は、ワクチンの効果が減弱する可能性があり推奨されません。(接種後2週間以内の抗インフルエンザ薬の投与、接種予定の2日以内にタミフル・リレンザ投与、5日以内にラピアクタ投与、17日以内にゾフルーザ投与がある場合)
その他、重度の卵アレルギーの方、川崎病などでアスピリン製剤を服用中の方、
37.5℃以上の発熱がある方、鼻汁鼻閉症状が強い方
妊娠中の方、人工内耳装用など、脳脊髄液と口、鼻、耳、などの間に交通がある方
も投与は控えた方が良いです。
・最後に
注射が嫌いなお子さん、12歳未満の方で1回の接種で終わらせたい方にはお勧めですが、副反応のリスクの観点から、持病のある方やご家庭状況から投与が適さない場合もあります。接種に関する最終決定はご家族の判断でお願いします。気になっておられる方でご不安や疑問点などありましたらご相談ください。