ホームーページが完成しました/外耳道の病気①|那珂川市片縄の耳鼻咽喉科|みみ はな のど かたのクリニック

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ホームーページが完成しました/外耳道の病気①

ホームーページが完成しました/外耳道の病気①|那珂川市片縄の耳鼻咽喉科|みみ はな のど かたのクリニック

2024年8月30日

みみはなのど かたのクリニックのホームページが完成しました。

耳鼻咽喉科では耳・鼻・のど・首といった複数の臓器を扱うため、対応する疾患も多く、本ホームページ内でご紹介しきれない疾患が多々あります。

ブログとして紹介しきれていない疾患の説明・解説を行いますので興味がある方は閲覧いただけたら幸いです。

初回は耳の疾患をいくつかご紹介できたらと思います。

また、文章内で耳掃除を頻回にしなくてもよい理由、耳の奥を触ると咳がでる方がいる理由も述べています。

・閉塞性角化症

外耳道表皮から剝脱した堆積物が異常に蓄積して外耳道を閉塞させる疾患です。

本来外耳道には自浄作用といって、奥から外側に古くなった皮膚細胞が運ばれる機能が備わっており、皮膚表面にある線毛(細かい毛)で吸着したゴミなども自然排出されます。(※耳鼻咽喉科で耳掃除をしなくてもいいですよといわれるのはそのためですし、耳垢ができるのは外耳道の外側1/3とされています。)

自浄作用が低下することで分泌物が堆積すると、難聴を来したり、外耳炎や外耳道真菌症を合併したり、蓄積物が徐々に周囲の皮膚や骨などの組織を破壊していくことがあります。定期的な処置を行い、外耳道を綺麗な状態で保つことが大切です。

根本的な治療法はありませんが、副鼻腔炎や気管支拡張症などの気道炎症は当疾患を合併することが多いといわれており、これらの疾患がある場合コントロールが大切であると考えます。

外耳道の感覚を司る迷走神経は気道にも枝を伸ばしており、気道炎症による迷走神経刺激が、外耳道の奥側表面に伸びる迷走神経の枝(アーノルド神経)も刺激することで耳垢分泌が亢進し、閉塞性角化症が悪化すると考えられています。私もコロナ感染後は耳垢が増えたと実感しました。

また、耳かきなどで外耳道を刺激すると、迷走神経刺激が気道に到達して咳が出るという仕組みになっており、アーノルド神経反射と言われています。アーノルド神経反射は健常成人では2%で見られますが、慢性咳嗽の方では25.5%(男性12.5%、女性31.6%)との報告がありました。実際、閉塞性角化症は女性の方が発症率が高いようです。

参考文献

Dicpinigaitis PV et al. Prevalence of Arnold Nerve Reflex in Adults and Children With Chronic Cough. Chest. 2017 Nov 29. pii: S0012-3692(17)33132-X. doi: 10.1016/j.chest.2017.11.019. [Epub ahead of print]

・外耳道真菌症

鼓膜や外耳道にカビが感染することで掻痒感や耳漏を来します。耳漏等の堆積物が蓄積すると耳閉感や難聴の症状を、また50%は細菌感染を合併して耳痛といった症状を来します。

耳かきやイヤホンなどによる微細な外傷が誘因となり、糖尿病やステロイド剤長期使用といった免疫低下を来す状態の方が発症しやすいです。

原因菌でみると、重症肺炎の原因となるアスペルギルス菌が80%を占めており、次いでカンジダ菌が多いですが、カンジダ菌は近年薬剤耐性菌として問題視されている細菌の一種である緑膿菌の合併が多いです。

一見して細菌性の外耳炎と区別がつかないことも多く、治療難治性の外耳炎の場合は外耳道真菌症を疑って培養検査を行い、清掃や希釈消毒液での洗浄・抗真菌剤の塗布を、場合によっては抗真菌薬の全身投与を行います。

厄介な点としてカビは湿潤環境で発育するため、消炎目的の点耳薬などで増悪する可能性があること、また重症化すると後述する頭蓋底骨髄炎(悪性外耳道炎)に進展して致死的な状態になる可能性があることが挙げられます。

対応が後手になる前に、しっかり治療することが大切です。

・頭蓋底骨髄炎(悪性外耳道炎)

死亡率が10%程度あり、危険といえる病気です。緑膿菌や真菌、MRSA(抗生剤に耐性をもったブドウ球菌)といった菌が原因で起こる外耳道の炎症が、頭蓋骨に進展・周囲の血管や神経を巻き込んで、骨破壊や血栓症・神経障害を来します。

強い耳痛や頭痛、耳漏が主な症状ですが、難聴や顔面神経麻痺・飲み込みにくい・話しにくいといった症状を合併することがあります。

また、糖尿病の合併が80%といわれており、免疫低下を来す疾患をもった方でも注意が必要です。

炎症が限局的であるため、採血上で判別がつかないことが多く、画像検査や生検(組織採取による検査)などを総合的に行って診断をつけます。

抗生剤全身投与と手術も行われることもありますが、再発率は10%ほどであり、2か月以上の抗生剤投与が推奨されます。また、高圧酸素療法が併用されることもあります。

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