はなの病気
はなの病気
スギ・ヒノキなどが原因の季節性のもの、ダニ・ホコリ・カビなどが原因の通年性のものがあり、症状は鼻汁、鼻閉、くしゃみが3大症状といわれています。
当院では鼻汁を採取し、アレルギーの反応を調べる鼻汁好酸球検査や、指から1滴血液を採取することでお子さんでも原因物質を調べられるドロップスクリーン検査を導入していますが、採血ではアレルゲン物質の特定が困難な、局所アレルギー性鼻炎や好酸球増多性鼻炎も知られています。
その他鼻炎の原因として血管運動性鼻炎や味覚性鼻炎、ホルモン分泌の乱れに伴う内分泌性鼻炎、薬剤性鼻炎などがあり鑑別にあがります。
治療は薬物療法がメインで、症状の程度に応じて点鼻薬や飲み薬の組み合わせの治療が標準的です。また、スギ・ダニに対する舌下免疫療法も当院で行っております。
市販の点鼻薬の多くには血管収縮作用がある成分が含まれており、長期使用により反応性に鼻粘膜の浮腫を来します。これにより点鼻をした瞬間は鼻閉が改善されますが使用しない状態では強い鼻閉を来します。睡眠障害や口腔内乾燥などの症状を認めることもあります。
また、血管拡張作用のある内服薬により鼻粘膜を来すこともあり、代表的な薬剤は抗不安薬や抗うつ薬、降圧薬、前立腺肥大症薬などがあります。
薬剤性鼻炎の場合、基礎疾患としてアレルギー性鼻炎があることが多く、市販の点鼻薬の中止やアレルギー性鼻炎の治療が有効な場合が多いです。内服薬が原因となる場合は使用薬剤の中止、変更、減量が望まれます。手術加療が検討される場合もあります。
鼻閉、鼻汁、後鼻漏、咳、痰、頭痛や頬の痛み、咽頭痛、顔面圧迫感、嗅覚異常といった症状を来します。ウイルス性の急性鼻炎やアレルギー性鼻炎が原因となることが多く、細菌感染を合併して生じます。小児では持続する咳、鼻汁、発熱の原因が副鼻腔炎であることも頻繁にみられますので、気兼ねなくご相談ください。
急性副鼻腔炎の診断基準には画像検査(レントゲン撮影やCT)の基準はなく、被爆なしに診断が可能です。(重症度や合併症の評価には用いる場合があります。)
重症化すると、頭蓋骨の内側・脳内の炎症(髄膜炎や脳膿瘍など)や目の炎症(眼窩蜂窩織炎や眼窩骨膜下膿瘍など)も引き起こします。乳幼児、糖尿病や悪性腫瘍などの免疫低下を来す病気をお持ちの方は注意が必要です。
治療薬は去痰薬や抗生剤を用いますが、鼻汁の排泄を促す鼻処置やネブライザーも併用することが効果的です。
蓄膿症としても知られており、3か月以上継続する副鼻腔炎のことをいいます。鼻閉、鼻汁、後鼻漏、頭重感、咳、痰、嗅覚障害などの症状を来します。気管支炎や喘息も合併しやすく、持続する咳や痰、咽頭痛の原因が慢性副鼻腔炎の可能性があります。
炎症に伴って鼻茸(鼻のポリープ)を形成するタイプも知られており、中には眼の間の空間に鼻茸を多数形成し、難病に指定されている好酸球性副鼻腔炎に当てはまるタイプもあります。その場合難治性で再発率も高く、悪化しないためのコントロールが重要となります。
慢性副鼻腔炎の診断は3か月以上持続する鼻症状、鼻汁・鼻茸・後鼻漏といった鼻内所見で行い、画像診断も補助的に行われます。
治療は去痰薬や長期使用が認められている抗生剤、ネブライザー等で行います。鼻茸合併例に対する治療はステロイド製材を用いることがあります。経口ステロイドは長期間、高容量使用すると骨粗鬆症や高血圧、糖尿病、感染のリスクとなり、反復使用には注意が必要なため、局所ステロイド(点鼻薬や噴霧薬)が選択されることが多いです。
顔に傷がつかない鼻の内視鏡手術も治療選択肢の1つであり、難治性で考慮すべき方は連携病院にご紹介いたします。
鼻血の好発部位は鼻の前方、血管が発達している鼻中隔の部分で90%を占めます。
原因としては鼻いじりによる物理刺激や、鼻かみ・くしゃみ等による空気の圧力による損傷などがあります。高血圧や糖尿病・サラサラ系の薬を飲んでいる方は血管損傷のリスクが高く、アレルギー等による鼻炎や副鼻腔炎がある方は粘膜の脆弱性により出血を起こしやすいです。
基本的に鼻圧迫で止まる鼻血がほとんどですが、焼灼手術を行った方がよい場合もあります。基礎疾患、原因疾患のコントロールも大切です。
鼻の左右の隔壁は複数の骨、軟骨から形成されています。
顔面、頭の成長の過程で口蓋骨(口の上方の骨)と頭蓋底(脳の下の骨)の間に生じる圧力や、各骨軟骨の成長速度が異なることで、成人の90%は鼻中隔が弯曲しており、外傷により生じることもあります。弯曲の程度には個人差があり、弯曲の程度がひどく病的な症状を来すものを鼻中隔弯曲症といいます。鼻閉や鼻痛・頭痛・反復する鼻出血といった症状を来します。
診断には鼻の内視鏡検査やCT等の画像検査が有用です。アレルギー性鼻炎を合併している場合はアレルギー治療を行うことで鼻内のスペースを広げて、ある程度症状を緩和できる可能性もありますが、根本的治療は手術となります。
慢性副鼻腔炎では気管・気管支の炎症性疾患も合併することが多く、慢性・反復性の気道炎症を上・下気道に合併した病態を副鼻腔気管支症候群といいます。気道炎症としては慢性気管支炎・気管支拡張症・びまん性汎細気管支炎などがありますが、副鼻腔炎の症状に加えて労作時の息切れや喘鳴などが見られ、症状が8週間以上続いた際は当疾患を疑います。
治療は慢性副鼻腔炎治療薬が気道炎症にも奏功しますが、場合によっては副鼻腔炎の手術も検討されます。
鼻前庭は鼻の前方部分で、指を入れて触れる範囲が含まれます。呼吸時に空気が最初に通過する部位であり、細菌やウイルス・ホコリ・花粉・粉塵などの影響を受けやすい部位です。
また、鼻いじりや鼻かみによる粘膜上皮の損傷も多く、アレルギー性鼻炎やかぜに伴って炎症を起こすこともあります。症状は掻痒感から始まりますが、進行すると鼻の前方が腫れて浸出液が出たり、かさぶたが反復したり、痛みが出たりします。治療は患部の安静、清潔と抗生剤含有の軟膏や消炎剤で治療を行います。
悪化すると、毛包炎(毛穴の炎症)や膿瘍(膿の塊)を形成して切開術等の外科的処置が必要となる可能性もあります。
鼻・副鼻腔には発生する腫瘍は多種多様です。良性疾患が多く、乳頭腫、血管腫、歯原性腫瘍等が多いです。また、妊娠に伴って発生・増大する化膿性肉芽腫も知られており、妊娠に伴って鼻閉が生じる一因となります。また、一側性の副鼻腔炎の原因が腫瘍である可能性も考えられます。
鼻・副鼻腔腫瘍は鼻内所見で確認が出来ても、進展範囲や周囲の骨の破壊等の精査目的でCT/MRI検査を行うことが望ましく、その際は連携病院にご紹介いたします。
鼻・副鼻腔に出来る悪性腫瘍としてはがん、リンパ腫、メラノーマ、肉腫などがありますが頻度は多くはありません。しかし良性腫瘍で最も多い乳頭腫の中には、がんの合併やがん化するリスクの高いタイプも知られており、腫瘍を認めた際は早期の精査が望ましいです。
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